2018年 01月 27日
イノダコーヒ三条支店@中京区桝野町
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京都の喫茶店の雰囲気をよく残している。京都にはカフェとは明らかにことなる「喫茶店」としかいいようのない雰囲気いいお店がたくさんある。このお店は大変居心地がよい。イノダコーヒは京都喫茶店を代表する名店。繁華な場所に近いが、本店が近くにあるので観光や一見さんは少ない。まさに京都の日常である。飲食に加え、コーヒー豆等の物販もある。いつもインスタントのブルマンを購入している。90グラムで2千円以上と高額だが、大変においしい。下手なドリップコーヒーよりもはるかにうまい。仕事場で愛飲している。河原町周辺をぐるぐると歩き疲れ、御池の市営駐車場に戻る前にこちらに寄る。街歩きに疲れた体に沁み入るコーヒーは格別にうまい。ここに来てコーヒーを飲むたびに、コーヒーというのは非常に美味しい飲み物だと思う。酸味の少ない濃いめのコーヒーに砂糖・ミルクをたっぷり入れて飲むのが京都スタイル。京都の朝は、これを飲んでスイッチ・オン、という話を聞いたことがある。戦前からの京都の流儀らしい。深入りコーヒーを使ったなんちゃらラテなんてものが日本に定着するより半世紀以上前から、よく似た飲み方をしていたことになる。現在でも京都の人たちは、全国屈指のコーヒーの愛飲家である。カフェ、バリスタなんて流行りのお仕着せがましい、どこか座りの悪い言葉は、この街には似合わない。そんな言葉が流布する遥か前からこのお店は京都三条通にあり、すっかり街に馴染んでいた。三条通は寺町より西はそれほど人が行き交う場所でも、流行りのお店が立地する場所でもなかった。YMCA会館周辺は夜は寂しくて暗い場所だった。最近は行き交う人々が増え、東京風の「てらいもない」お店が増えたように思える。しかしこのお店はずっと変わらない。本店以上に変わらない雰囲気だ。本店は火事でやけてしまってピカピカに新しくなってしまったし、観光客が多くなり、高田渡が唱った頃とは、雰囲気が変わってしまった。イノダコーヒはどこの店でも、あえて指定しないと砂糖・ミルク入りコーヒーが提供されていた。いまは「砂糖・ミルク入れてもよろしいですか」と控えめに聞いてくる。「砂糖・ミルクいかがいたしましょう」と聞かないところに矜持を感じる。「入れてもよろしいですか」は京都のお店らしい控えめな表現で、その心は「ここでは砂糖・ミルクを入れて飲むのが当然なのだが」ということである。それでは押し付けがましいということで、「よろしいですか」という控えめな表現になる。これが時として「腹黒い」と誤解をうける京都人の心遣いである。若い頃、イノダで京都の喫茶店文化に痛く感心した身といては「そんなんイノダさんが聞くことやないわぁ。ブラックを飲みたければコメダでもタリーズでもいかはったらよろしいやん」と言いたいが仕方ない。これもイノダが京都を代表する喫茶店として有名になり、全国から人が来るようになったからだろう。素敵で確たる伝統と流儀があるがふんぞり返ることもなく包容力に富んだこのお店が、全国の人々に知れることは喜ばしいことだ、ということにしておきたい。四半世紀も前にインスタントコーヒーしか飲んだことのなかった僕に、素敵な流儀を教えてくれたように、多くの人々に京都の喫茶店文化を伝えてくれれば、なおよいではないか。
by sazanami226
| 2018-01-27 22:33
| 京都散歩
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